樽詰編

さて、いよいよこれからが当サイト軒軸となる樽詰めです。

樽の開栓

正規に購入したビール樽をビール樽開栓工具を使って開栓します。大手ビールメーカーはいちいち開栓しないで高温、高圧のスチームで洗浄、殺菌するそうなのですが、そういった機械を持ち合わせていないホームブルワーは開栓してきれいに洗うのが確実です。また無濾過の自ビールは酵母などのカスが中にこびりついています。

開栓はあらかじめビール樽開栓工具添付の説明書をよく読み、安全に留意して作業してください。

おことわり
当サイトではビール樽の詳しい開栓方法については触れておりません。これは不十分な知識で工具を自作したり、他の工具を流用することによって起る事故を未然に防ぐためです。
当サイトで扱っているビール樽開栓工具はガス抜きをしないと工具が固定されないなどの安全対策がほどこされており、添付のマニュアルには作業工程毎に注意事項や禁止事項が事細かに記してあります。

スピアバルブの洗浄

スピアバルブの分解

樽の中には写真のような部品が収まっています。このアッセンブリをスピアバルブと言い、このサイフォンチューブを伝ってビールが出てきます。まずはこの部品を洗浄します。

スピアバルブ分解工具を作ろう

樽の形状とは別にスピアバルブも色々な種類があります。紙筒などで押込んで分解できる物もありますが、ここは衛生面からも専用の工具を作りましょう。

スピアバルブ分解工具はホームセンターなどで売っている塩ビ水道管のT字分岐を加工します。

積水化成 HITSチーズ20
JANコード4-547204-121118(コーナン)
¥109
メーカーは積水化成の物を使ってください。同じ規格のものでも内径や外径が微妙に違います。

下記の台紙をダウンロードし、写真のように部材に貼ります。
spire_release.pdf(64KB)

この台紙に沿って×部分を糸ノコやパイプカッターで切り取ります。
最後にヤスリで仕上げて完成です。
比較的容易に作れますが面倒な方はご注文ください。

スピアバルブ分解工具 700円

使い方

スピアバルブを逆さまにしてスピアバルブ分解工具の凸部とリテイニングディスク凹部を合わせ、押しつけながら回します。樽によって回す方向性がありますので注意してください。

スピアバルブは主に上記の部品から構成されています。樽の中には上記の部品の他にストッパーが付いた物もありますので必ず元の位置に戻して組付けてください。

分解したスピアバルブは日が経った物は一昼夜水に浸けた後、100円均一などで売っている水道用ブラシで洗います。十分に乾かした後、組上げます。

樽の洗浄

樽は使用後雑菌が繁殖しない内に開栓して洗うのが理想的ですが、日が経った物は写真のように水に浸けて一昼夜おいた後洗浄します。
写真は樽の形状が違いますがスピアバルブは共通なので一緒に洗浄しています。スピアバルブも何種類か有り、部品を混同させると気密性が保たれませんので注意してください。

へびくんを作ろう

業務用サンケイ樽の唯一の欠点が洗いにくいと言うことです。しかし洗浄用具を工夫することで解決出来ます。

用意する物
パンティストッキング×2
(ナイロンタオル等でも可)
ビー玉(大玉)×12個ぐらい
駄菓子屋で売っている物です。

パンティストッキングの脚の部分を切取ります。
脚の部分を4枚重ねてビー玉が入るくらいの間隔をミシンで伸縮縫いにします。このとき周りはあえて残します。

ストッキングの2枚目の間にビー玉を1個ずつ入れてミシンで縫い合せ、これを繰返します。

お目めも付けてみました。

使い方

軽く濯いだ樽に少量の水と台所用洗剤を適量入れた後へびくんを入れます。

へびくんが樽の隅々まで行渡るのをイメージしながら上下左右に樽を振ります。

へびくんを取出した後、よく濯ぎ逆さまにして水気を切ります。

洗浄後すぐにビールを仕込む場合はそのまま殺菌に入りますが、間が空く場合は完全に乾かしてスピアバルブで蓋をします。
キッチンペーパーを丸めて入れてしばらく置くと残った水分もきれいに蒸発します。

樽詰の実際

樽詰も仕込同様、殺菌を進める間様々な行程がありますのでタイムテーブルをダウンロードし台所に貼ってください。
timetable_taru.pdf

樽の殺菌
よく洗浄した樽に消毒剤を満たし10分間殺菌したあと次の樽に移して総ての樽を殺菌します。消毒剤はステンレスを殺菌するので薄めに作ります。標準は1リットルに対し10mlなのですが、3mlでも問題ないようです。ただし30分以上浸けないでください。殺菌終了後水で2回ほど濯いでお湯で1回濯ぎ、逆さにして水気を切っておきます。
樽本体の殺菌が済んだらスピアバルブが入るほどの容器に消毒剤を移し、スピアバルブ、チューブ、ヘッド、1.5リットルのPETボトル等を殺菌します。スピアバルブはサイフォンチューブの中まで消毒液が行渡るようにしてください。

樽のパージ
洗った樽は多少水分が残っていてもかまわないのですが、酸素を追出すために炭酸ガスで3秒ほどパージします。

ウォートの移し替え
発酵容器のコックに消毒したチューブを取付けて樽に差込みます。コックを静かにあけてウォートを樽に流します。この時、あふれないように注意してください。大きめの蓋はゆるめて空気が入るようにします。
1本目の樽がいっぱいになったら、コックを閉めてチューブから樽を外します。この時、後述の強制カーボネーション(泡入れ)をしない場合はプライミングシュガーを入れます。再び炭酸ガスを1秒ほどパージし殺菌後濯いだスピアバルブを組付けます。ある程度手で回した後、ビール樽開栓工具で完全に締付けます。この時外したときと同じくらいのトルク(固さ)で締付けてください。あまり緩めですとヘッドを外すとき一緒に回ってしまいます。
1本目の移し替えが終ったら、大きい方の蓋を開けて炭酸ガスを3秒ほどパージします。酸素にふれないよう炭酸ガスで蓋をするのです。
2本目の樽も同じようにパージし、ウォートを移し替えます。容器内のウォートは徐々に無くなり傾けた状態で排出されなくなったら、大きい方の蓋を開け中をのぞきながら傾斜をつけるためにはめておいた木片を外し、ゆっくりと澱が流れ込まないように傾けます。澱が入るとせっかっくのビールが濁りますので注意してください。
2本目も一杯になったら同様に蓋をします。
詰め終った樽はフィッティング(口金)をシャワーで軽く流し、逆さにしておきます。

澱の保存
発酵容器に残った澱は発酵の終った酵母や滓と一緒に生きた酵母も入っています。少量の水を入れて中の酵母をPETボトルに移し替えて冷蔵庫で保存し、次の仕込に使います。2週間ほどはこの状態で使えます。

泡入れ(カーボネーション)

樽にうつしたウォートはそのままでは炭酸が含まれていません。炭酸を含ませる方法は2通りあります。

ナチュラルカーボネーション
発酵が終ったとは言え、中の酵母はまだまだ生きています。ここに糖分を加えて密閉状態にすると再び発酵が始り、酵母は炭酸ガスを発生します。これがビール内に溶け込み、泡を生み出します。瓶詰の場合はこの方法しかありません。

ウォートを移し替えた後、10リットルあたり30g(瓶詰と比べて2/3程度)のプライミングシュガーを加え、炭酸ガスでパージした後スピアバルブを組付けます。

冷暗所で保存し2週間ほどで飲用可能になります。

強制カーボネーション
本来ビールを抽出するための炭酸ガスは食品添加物ですのでそのまま泡入れに使えます。ナチュラルカーボネーションが2週間位かかるのに対しこの方法はカーボネーション後翌日に飲用可能になります。

よく洗浄したヘッドを殺菌し、ビアライン側に水道用のキャップナットで蓋をします。
このとき、ビアライン逆止ボール、ガスライン逆止弁などは必ず組込みます。

水道用キャップナット
コーナン
JANコード  4938960303120

ヘッドとガスボンベをつなぎ、下記の表を参考に液温からガス圧を設定したあとレバーを下げます。
樽を横にして樽を揺すります。炭酸が入っている内はポコポコと音がしますので樽に耳を当てて確認します。いくら振っても音がしなくなったらヘッドを外して口金を濯いで完了です


※上記の表は全体的に低めに設定してあります。炭酸が弱い分には足せばいいのですが、入れすぎた炭酸を抜くのは大変だからです。


ラベル貼り

瓶詰同様ラベル貼りはビール作りの最終段階で達成感と充実感が満喫でき、人によっては最も楽しい工程かもしれません。

ラベル見本

樽の場合はビン詰と比べて必要な枚数も極端に少ないので、少々高価ですが耐水性のフィルムを使用します。樽はビンとは違い汗はかかないのですが、使用後口を洗う必要があるのでフィルムの方が最後まできれいに使えます。
写真のフィルムは染料インクジェットプリンターでプリントしても乾けば耐水性になるのでビールラベルには最適です。顔料インクのプリンターをお使いの方はそれに対応したフィルムをお使い下さい。
インクジェットプリンター全般に言えることですが、幅さえ合わせれば必要なだけ印刷し、切って何回か使えます。

用紙設定をA4にして印刷可能範囲の上部に画像を配置します。

フィルムには表裏を区別するため角が丸くなっています。切取っても残るように丸い角を上にしてプリンターにセットします。

給紙方向と垂直にカットして余った分は次回のために袋に戻しておきます。
次回印刷するときは同じように設定しますが、余った用紙の大きさよりも大きな画像を配置しますとエラーになり、内部が汚れますので注意してください。

インクジェット用粘着フィルム
超耐水光沢
PLUS IT-324RF ¥990
ヨドバシカメラ

見本のラベルは下記ミラーサイトでダウンロード出来ます。樽用、ビン用と様々なバリエーションを用意しています。

ビールを作ろう 無料ダウンロードサイト

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