発酵編

温度管理の実際

発酵容器を置く場所が温度変化の少ない場所を選んだとしても、なかなか適温にはなりません。そこで必要に応じて温度調節をする必要があります。
以下温度管理の方法と、注意点を挙げておきます。

毛布で巻く

冷水に浸ける

クーラーボックスを利用する

冷蔵庫を改造する

とりあえず試してください。アイスパックや湯たんぽなどを毛布の内側に入れることによって多少の温度はカバーできます。
電気毛布やアンカを利用することも出来ます。

発酵容器より大きめの容器に浸けて氷や温水を入れます。タオルを図のようにかぶせることによって気化熱により2〜3℃下げる事も出来ます。

クーラーボックスは保温、遮光の意味で大変便利な道具です。アイスパックと湯たんぽを利用することでほぼ完璧な温度管理が出来ます。

お金と場所さえあればチェスト式フリーザーにサーモスタットを付けることで温度管理が全自動になります。
また最近流行のペルチェ式ワインクーラーなどはそのまま使用できます。

手軽ですが冷す場合、温度の変化はあまり期待できません。
また電気器具を使う場合は火災に注意して下さい。

左記の方法より効果的ですがバスタブを利用すると使用のたびに発酵容器を移動しなければなりません。これは外気を取込む可能性があるので余りお勧めではありません。大きめの発泡スチロールに入れるのがいいでしょう。

先に述べたように20リットルもの発酵容器が収るクーラーボックスはコールマンのスチールベルトクーラー以外ありません。しかし発酵容器を2つに分けたり、クーラーボックスを縦に使ったりすることで安いプラスチック製のクーラーも使えると思います。

ハイアールならさほど高くはありませんが、かなり場所をとりますしサーモスタットもそれなりにします。
ペルチェ式ワインクーラーも縦長の物が多く発酵容器も限られてきます。

発酵の確認

使うイーストにもよりますが、イースト投入後6時間〜24時間で茶色い泡が表面を覆ってきます。この状態を確認したらラガーなら9℃〜15℃、エールなら15℃〜24℃の発酵適温に近づけていきます。エールはそれほど気を使う必要は無いのですが、ラガーの場合は急激な温度変化にショックをおこして発酵をやめてしまいますので、ゆっくりと目安として1日に3℃くらい下げるつもりでアイスパックを調整します。(冬季の場合は湯たんぽなど)
なおエールは上面発酵、ラガーは下面発酵と書きましたが見た目それほど変化はありません。

経過を見守る

温度管理と発酵の確認は必ず1日1回は行います。なんの温度管理も必要としない場合は2、3日家を空けてもいいのですが、夏場のラガー等はご家族に頼むなどして気を付けましょう。
発酵が最盛期の時は見ていて泡が次々と出てきます。この時二酸化炭素も発生していますのでエアカッターやブローオフチューブを取付けているときはポコポコと音で発酵を確認できます。
やがて一面覆っていた茶色い泡は沈み、白い泡だけになってきます。

発酵終了の見極め

白い泡は徐々に無くなり、ビール色の液面が見えてきます。この時が発酵終了の合図なのですが、作る環境やレシピによって変ってきますので以下の項目を確認し、総合的に判断します。逆に泡が残っている内はまだまだ発酵が行われていると言うことになります。(島のように多少の白い泡は残っている場合もあります。)
写真はだいぶ発酵が落着いた状態ですがまだまだ発酵は続いています。

発酵終了の確認

  1. 仕込日数から判断する
    仕込編ではラガーは14日〜20日、エールなら1週間くらいと書きました。これもレシピやバッチによって変ってきますので飽くまで目安とします。しかし1週間もずれることはなく、ラガーで24日、エールで10日を越えることはまずありません。発酵終了から長く置くと酵母の臭いが付いてしまいますので気を付けてください。

  2. 飲んでみる
    どの行程でも必ず試飲をします。仕込編で甘く感じていたウォートはその甘さが無くなり苦みが前面にでてきてビールらしくなっていると思います。ウォート内の糖分は総て無くなるわけではなく、糖の種類によって分解されず甘みとなって残ります。市販のビールにも多少甘みがあるように、この時点でも甘みは感じるはずです。しかし現時点では炭酸が含まれていません。炭酸は甘みを隠す効果がありますので市販のビールよりもすこし甘みが強いと思います。

  3. 比重計を確認する
    これが一番確実な方法なのですが仕込時にシリンダーにとっていたサンプルの比重計を見ます。キットの説明書に最終比重が記載されていればその値になったらほぼOKですが、その値にならなくても発酵が終了している場合がありますので注意してください。そこでそろそろかなと思うときから比重計をチェックします。ラガーで48時間、エールで24時間比重が変化しなければ完全に1次発酵は終了したと言えます。

ダイアセチルレスト

イーストは発酵中に段ボールの腐ったような臭いを発生します。これは1次発酵終了後、温度を5℃ほど上げることで消えてゆきます。今回は次項にあるように発酵容器を縦にしますからこれをもってダイアセチルレストとしますが、市販の発酵容器や食品用保存容器を使用する場合は温度を上げた後2日ほど置きます。

樽詰の準備

今回はアウトドア用給水缶を使用していますので、実際樽に移す場合は容器を縦にする必要があります。コックを消毒したあと小さい方に取付け、一方大きい方の口はラップを外し付属のキャップを取付けます。コックがOFFになっている等容器が完全に密封されたことを確認し沈殿した澱が舞わないようにゆっくりと縦にします。この際コックより下に詰める樽が位置する必要があるので仕込む樽と同じ位の高さの台に乗せます。またコックに澱が入り込まないように図のように木片などを用いてすこし傾斜をつけてあげます。
この状態で澱が落着くまで1〜2日置きます。これが先に述べたダイアセチルレストになるわけです。温度がたかすぎるようでしたら毛布をかぶせ中にアイスパックを入れます。

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